この季節、いたるところに濃いオレンジ色の実を付けた柿の木を目にします。
早生種から始まり、種のない次郎柿・平核無(庄内・おけさとも呼ばれます)そして人気の高い富有柿と続きます。
人気の富有は柔らかめの果肉で種があります。切ってみると、黒い細かな点々があることがあります。
これは結晶化したタンニンで、タンニンとは渋みの原因です。これが結晶化して水に溶けにくい不水溶性になると、甘い柿になるのです。
切って中身に黒い点々があるからと言って傷んでいるわけではありませんのでご安心ください。
さて、柿には種のないものと種のあるものがありますが、どのような処理がなされているのでしょうか。
ぶどうの場合は植物由来の魔法の液につけますが、柿の場合は突然変異というのがいいかな、と思います。
普通、実を付ける植物は受粉をして実をつけます。しかし、種のない次郎柿・平核無は受粉をしなくても実が大きくなる品種の木なのです。
不思議ですね。
こんな柿ですが、ビタミンcの含量が果物の中で1番多いのです。1日1個食べれば1日分のビタミンが摂れてしまいます。
しかし、注意したいことがあります。
1.ビタミンcはすぐに吸収・消費されてしまうので1度の食事で1日分を摂取するよりも、3度の食事ごとに摂取したほうが栄養吸収の面では優れています。
2.甘く、独特の食感の干し柿にしてしまうとビタミンcの量は減ってしまいます。
3.貧血気味、妊婦の方は大量の摂取を控えてください。柿は体を冷やしてしまいますし、タンニンは体の中の鉄と結合して鉄分の吸収を阻害してしまいます。大量と言われてもどこからが大量なの?と考えてしまいますが、1日1/2~1個程度にとどめ、1度の食事で取るのではなく、数回に分け、体の冷えが気になる方は白湯など、温かい飲み物と食べると良いでしょう。
最後に、柿の花を紹介します。
まるで和菓子みたいなきれいに織り込まれた柔らかい黄色の花で5月頃から6月にかけて咲きます。
花の形も柿と同様に四角になっているのが面白いです。